女性泌尿器科について

女性泌尿器科で扱う代表的な疾患

過活動膀胱(OAB)

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過活動膀胱は「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い(頻尿)」「急にトイレに行きたくなり、我慢できずに尿が漏れてしまうことがある(尿失禁)」などの症状を呈す疾患です。医療機関を受診して一般に初診時に行われるのは問診です。問診以外には、膀胱の状態を調べるための検査を行うこともあります。排尿に関連した症状があるからと言って、必ずしも過活動膀胱とは限りません。他の病気の可能性も含めて確認するための検査です。初診で行う検査は、主に、腹部エコー検査(残尿量の測定)、血液検査、尿検査などです。これらは比較的簡単な検査です。過活動膀胱の検査にはほかに、尿流測定、パッドテスト、ストレステストなどがあります。治療には、薬による治療と、薬を使わない行動療法(膀胱訓練や骨盤底筋体操等)などがあります。

膀胱炎

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女性に多い病気で、男性に起こるのは稀です。年齢を問わずかかりますが、若い方に多く見られます。女性の外陰部にいる細菌が尿道から入って膀胱粘膜に付着、繁殖して起こります。
通常は菌が入っても、膀胱の感染防御機構が働いて膀胱炎にはなりませんが、次のような要因が重なると膀胱炎になることがあります――ストレス、疲れ、体調不良(風邪をひいた後など)、冷え症、尿を我慢し過ぎた、1日の尿量が少ない、不潔な性行為など。
症状としては排尿痛、排尿時違和感、頻尿、残尿感、下腹部痛(違和感、鈍痛、張った感じなど)、血尿、混濁尿(白く濁っている)、尿臭が強い、などがあります。
検査は、尿検査と尿の細菌培養検査*で診断します。トイレで紙コップに尿を採って来ていただき、それを顕微鏡で見て白血球(炎症細胞)が増えていれば膀胱炎と診断します。結果はすぐに出ます。
治療は、抗生剤を3~5日間、内服します。通常1~2日間で症状は良くなり、3~5日間の治療で治癒します。

*尿の細菌培養検査
原因菌の種類、およびその細菌にどんな薬剤が有効かを調べます。
細菌の種類としては、大腸の中にいる大腸菌、腸球菌や、皮膚・粘膜にいるブドウ球菌、連鎖球菌などがよく見られます。クラミジア(性感染症)のこともあり、クラミジア膀胱炎が疑わしいときは、尿中にクラミジアの遺伝子があるかどうかの検査をします。

腹圧性尿失禁

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女性の正常な体では、お腹に強い力(腹圧)がかかった場合、「骨盤底筋(こつばんていきん)」という筋肉が、膀胱と尿道を支えることで尿道が締まり、尿が漏れるのを防いでいます。腹圧性尿失禁は、この骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることによって、尿道をうまく締められなくなり、尿漏れを起こす疾患です(そもそも女性の尿道が3~4cmと短いうえに、真っすぐな形状であることも影響しています)。
咳をする、くしゃみをする、笑う、走る、テニスやゴルフなどのスポーツをする、重い物を持ち上げる、坂道や階段を昇り降りする――こうした強い腹圧がかかるような動作をした時に、尿が漏れてしまいます。問診や各種検査によって診断し、パッドテスト*などを行うこともあります。40歳以上の女性の4割以上が経験していると言われます。

*パッドテスト:水分摂取後に60分間、決められた動作や運動を行い、検査前後のパッド重量を計測し、尿失禁の重症度を判定する検査。

腹圧性尿失禁の治療

腹圧性尿失禁の治療の中心は、「骨盤底筋体操*」です。緩んでしまった骨盤底筋を鍛えて、臓器が下がるのを防ぎ、尿道や肛門を締める力・コントロールする力をつけることで、尿漏れを防ぐ方法です。軽症例に有効です。
薬による治療では、尿道を引き締める働きがある薬(β受容体刺激薬)などを用います。薬物療法以外の保存的治療には、電気刺激療法(干渉低周波療法)や磁気刺激療法があります。保存的治療にうまく反応しない場合には、手術療法(メッシュテープを尿道の下に通してサポートするTVT手術など)を検討します。

*骨盤底筋体操の行い方

1.仰向けに寝て、両足を肩幅に開き、両膝を軽く立てます(椅子に腰かけ、床につけた両足を肩幅に開き、背筋を伸ばした姿勢で行っても構いません)。

2.体の力を抜いた状態で、肛門と腟の両方を締めます。

3.ゆっくりと5つ数えたら力を抜きます。

4.1~3の動作を5分くらいずつ、1日に2~3回行います。

骨盤臓器脱

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女性の骨盤内臓器(膀胱、子宮など)は、多くの筋肉・靭帯・膜で支えられています。
これらが出産で傷ついたり、女性ホルモンの減少につれて弱くなったりしてくると、臓器脱が起こってきます。
骨盤臓器脱は、過去に多産・難産だった経験のある中高年の女性によく見られます。
この臓器脱で悩んでいる方は非常に多く、全国で数百万人はいると考えられています。ただし、この病気はまだ広く認知されておらず、羞恥心のために我慢している女性も少なくないのが現状です。
骨盤臓器脱の症状としては、以下のようなものがあります。

  • 腟から丸いものが脱出する
  • ピンポン玉のようなものが触れる
  • 股の間に何かがはさまっている感じがする
  • 下腹部が引っ張られる感じ、下がってくる感じがする

骨盤臓器脱は、軽症の場合には腹圧がかかった時に一時的に脱出する程度ですが、重症化すると、常時脱出した状態になります。
特にこの症状は、長時間の歩行・運動の後に悪化しやすくなります。また朝方には何ともないのに、夕方になると症状が気になってくる方が多いようです。
こうした症状にお悩みの方は、恥ずかしがらずにご相談ください。